研究課題
本研究の目的は、ビルマ古典歌謡の伝承手段である口唱歌を記述・分析し、口唱歌の体系を明らかにすることである。口唱歌とは楽器音を声で言葉で伝えるもので、世界各地の音楽伝承で見られる伝承手段である。報告者の問題関心は、楽譜などの記憶媒体を用いない口頭伝承がどのようにして可能となるのかである。本研究では、口頭伝承を可能とする頻繁に用いられる特定の旋律の分析に加え、さらに頻繁に繰り返し用いられる音楽の最小単位akwekの分析を行った。その成果に基づいてさらに科研番号21K01081にて研究を進め、2021年8月4日、6th Symposium of the ICTM Study Group on Performing Arts of Southeast Asia (2021年7月29日-8月5日、Tainan National University of the Arts、オンライン開催)にて“Transmission and Memorization of Myanmar Classical Songs: with special reference to akwek or the smallest units of music”の題目での口頭発表を行った。ビルマ古典歌謡が伝承される際の音楽の最小単位akwekの分析を通し、口頭伝承と記憶がどのように可能となるのかを明らかにするものである(科研課題番号21K01081の研究発表として記載)。上智大学アジア文化研究所のOccasional Papersに、古典歌謡の歌詞について焦点を絞って分析した論文"Oral Transmission System of Burmese Classical Songs: Overview of Bazat-Hsaing or Mouth-Music"を投稿し出版された。コロナ禍のため予定していた8-9月4週間のミャンマー調査が実施できなかったため、これまで収集した竪琴奏者ウー・ミィンマウンの手書き楽譜3000枚の画像処理作業を進め、楽譜の分類を進めた。具体的には、これまで終了していた楽譜のリスト化に基づき、同じ作品の異なる楽譜を整理して、同一曲のバリエーションの分析の準備を進めた。また、スタイルノート社にて出版予定の著書『ビルマ古典歌謡の伝承』(仮題)の執筆を進めた。
すべて 2022 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (2件)
Occasional Papers (Institute of Asian, African, and Middle Eastern Studies, Sophia University)
巻: 34 ページ: 31-53
https://researchmap.jp/INOUE_Sayuri/presentations/33294043
https://inoues.myportfolio.com/