本研究の学術的意義は、口唱歌の記述及び口唱歌での伝承を可能とするビルマ音楽の音階構造、旋律パターン及び、音楽の最小単位との関連にまで言及して伝承システムを明らかにしたことである。ビルマ古典歌謡のレパートリーは全ての楽器で共有されているが、口唱歌は楽器の構造に基づく奏法を言葉にしたものであるため、楽器によって口唱歌に相違点もある。奏者によっても違いがある。このように奏者や楽器によって違いがありつつも、互いの口唱歌を聞いて演奏可能な点も興味深い伝承方法である。日本の三味線音楽のように、口唱歌は各国の音楽にも共通する口頭伝承手段である。本研究は口頭伝承の比較研究のための重要な基礎研究になりうる。
|