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2019 年度 実施状況報告書

ヒマラヤ地域における所有-社会的制御能の系譜学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01200
研究機関立命館大学

研究代表者

橘 健一  立命館大学, 政策科学部, 非常勤講師 (30401425)

研究分担者 渡辺 和之  阪南大学, 国際観光学部, 准教授 (40469185)
山本 達也  静岡大学, 人文社会科学部, 准教授 (70598656)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード所有 / 例外 / 制御能 / 間隙 / 抵抗 / 存在論
研究実績の概要

2019年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によりフィールドワークを実施することができなかっため、これまでフィールドワークで収集した資料の整理と再解釈、並びに文献調査を進めた。
すでに調査していたネパールのチベット・ビルマ語系先住民が違法に森林を伐採し住み着いた事件を再検討するなか、それが例外的な所有権の主張と結びついていたことと、その主張の背景に先住民や伐採された森林の例外性の歴史が関わっていること、さらにその歴史がネパールの政治的枠組みが生殺与奪の政治から生かす政治への転換したことに大きく関わっていることを明らかにした(報告は2020年度に刊行予定)。
ここから、所有の問題を考えるのに、例外性という問題も重要であるとの認識に至り、それをどのように制御能の議論に組み込めるか、という新たな理論的課題を得るに至った。
また、国境を越えた移動や市民権に関わる資料も取り上げ、国家的な制度のどのような変化が、どのように所有のあり方に影響するのか検討を進めた。そのなかで、制度の間隙をつく空間、制度に抵抗する空間が例外や所有の問題に関わることを見出した。
その他、これまで普遍的に捉えてきた所有や制御能、あるいは主体概念の言語文化的な比較検討を開始した。特にヒマーラヤ地域に関わるインド・アーリア語系とチベット・ビルマ語系文化との比較を検討の中心としている。その違いが宗教や家族構造、イデオロギー、さらには存在論とどう関わるのかも念頭に置きつつ、資料分析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していたフィールドワークが実施できず、新たな調査資料を得ることができていない。それまで得られた資料の分析、文献調査は進めることができているが、研究の進捗は遅れていると言わざるを得ない。

今後の研究の推進方策

新型コロナウイルス感染の収束見通しが立っていない現在、今後もフィールドワークが十分行えない可能性が高い。状況を見ながら、研究規模を縮小してまとめるのか、研究を延長するのか、判断していきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、年度末に予定していた国外におけるフィールドワークが実施できなかったため、予算が消化しきれず、次年度使用額が生じてしまった。今年度は、新型コロナウイルス感染の収束を待ち、国外フィールドワーク並びに国際学会への参加費を中心に予算を使用する予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 伝統野菜をどう支えるか2019

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 雑誌名

      ビオストーリー

      巻: 32 ページ: 44-47

    • 査読あり
  • [学会発表] 宗教的祭礼と家畜交易:バングラデシュ・インド国境における牛交易の事例2020

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 学会等名
      日本地理学会
  • [学会発表] インド市民権を求めて-アトム化するボーダナート在住チベット難民の生きる道2020

    • 著者名/発表者名
      山本達也
    • 学会等名
      2019年度フィールドネット・ラウンジ企画
  • [学会発表] けんか祭りの変容 富山市・岩瀬曳山車祭り2019

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 学会等名
      日本文化人類学会分科会:祭礼における「脱暴力化」の研究
  • [学会発表] インド・バングラデッシュ国境における「セミ・リーガル」な家畜交易:ヒマラヤの家畜回廊に関わる調査32019

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 学会等名
      生き物文化誌学会
  • [学会発表] 伝統野菜をどう支えるか?:和歌山県湯浅町における湯浅なすの復活2019

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 学会等名
      生き物文化誌学会
  • [学会発表] 2つの羊毛敷物:チベット絨毯とネパールのラリの生産と流通2019

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 学会等名
      公開講座:シンポジウム「インド・ファッションの世界:素材から考える装い」、国際ファッション専門職大学名古屋校舎/ 名古屋モード学園
  • [学会発表] 南アジアにおける供犠と肉食の現在2019

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 学会等名
      池谷先生の還暦を祝う研究会:阪南大学
  • [学会発表] 動物を神に捧げ、共食する:南アジアの祭礼と諸宗教間での肉食観の違い2019

    • 著者名/発表者名
      渡辺和之
    • 学会等名
      生き物文化誌学会東京例会シンポジウム「命を見る目線」
  • [学会発表] Commemorating a Self-immolator: A Case Study of Responses to Self-immolation in a Tibetan Refugee Society in India2019

    • 著者名/発表者名
      山本達也
    • 学会等名
      The 11th INDAS South-Asia International Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] Negotiating Citizenship: a Case Study of Tibetan refugees in India and Nepal2019

    • 著者名/発表者名
      山本達也
    • 学会等名
      日本南アジア学会第32回全国大会
  • [学会発表] Citizenship under the dual legal system: a case study of Tibetan refugees in India and Nepal2019

    • 著者名/発表者名
      山本達也
    • 学会等名
      The 11th International Convention of Asian Scholars
    • 国際学会
  • [図書] 「ヒマーラヤ地域」『ようこそ南アジア世界へ』2020

    • 著者名/発表者名
      橘健一
    • 総ページ数
      440-446
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812219188
  • [図書] 「難民として生きる――国籍との抜き差しならぬ関係」『マルチグラフト―人類学的感性を移植する』2020

    • 著者名/発表者名
      山本達也
    • 総ページ数
      33-43
    • 出版者
      集広舎
    • ISBN
      9784904213872
  • [図書] 「文化―人びとが日々生きている多様性」『ようこそ南アジア世界へ』2020

    • 著者名/発表者名
      山本達也
    • 総ページ数
      219-236
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812219188
  • [図書] 「南アジアと中国」『ようこそ南アジア世界へ』2020

    • 著者名/発表者名
      山本達也
    • 総ページ数
      283-283
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812219188

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公開日: 2021-01-27  

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