研究課題/領域番号 |
18K01203
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研究機関 | 長野県立大学 |
研究代表者 |
織田 竜也 長野県立大学, グローバルマネジメント学部, 准教授 (00431841)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | テーマのある空間 / フードカート / 暗黙知 / 文化的表象 / プエブロ・マヒコ |
研究実績の概要 |
本研究は「テーマのある空間(Themed Space)」概念を用いて都市空間を考察する。四年目の2021年度は引き続き米国各地での現地調査を計画していたが、実施することができなかった。理由は「現在までの進捗状況」欄に記載する。 2020年度に日本文化人類学会研究大会で発表した研究内容を再考し、フードカートのメニューを構成する名称や、材料の名前の組み合わせを考察した。とりわけ文化的なまとまりをもつ意味がどのように作り出されるのかを検討し、観察者の認知レベルにおいてマイケル・ポランニーの暗黙知理論を援用することを示唆した。 暗黙知は「明示されない知」「言語化が難しい知」と理解されるが、認知過程の分析に重要な指摘がある。複数の要素が結びついて新たな意味を創出する「創発の理論」は文化人類学の議論と重なり合う。コーヒーとミルクが結びついて「カフェ・オ・レ」という新たな飲料が創出されると独自のまとまりをもって認知され、人々の世界観に配置される。本研究の事例では、素材の組み合わせによってタコスというメキシコ料理が創出される過程が該当する。 現地調査を断念せざるを得なかったため、研究期間の延長を申請して承認された。今後の課題として、都市空間を彩る食品の民俗文化を考察するために、メキシコの市場やレストランにおける文化的表象を現地で収集することが必要になった。 現地調査はメキシコ政府観光局が選出する「プエブロ・マヒコ(魔術的魅力のある村)」において、メキシコの文化的表象(特にメキシコ料理)がどのように提示されているのかを調査する。これまでに選出された「プエブロ・マヒコ」は100を超えるので総合的な調査は難しいが、米国のフードカートで表現された文化的表象と比較可能な表象を発見したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の現地調査を実施することができなかった。その理由は新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う入国規制に関連して、とりわけ2週間の自主隔離期間を確保するのが日程的に困難だったためである。また議会議事堂襲撃事件に代表されるように、米国では暴力的なデモやアジア人が襲撃される事件が発生するなど、円滑な調査が見込めない状況もあった。研究期間の延長を申請して承認された。
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今後の研究の推進方策 |
8-9月に現地調査を実施する。隔離期間が短縮される傾向にあるので日程を調整して実行する。最終年度なので短期間になっても現地調査を実行して研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度の現地調査を実施することができなかった。その理由は新型コロナウィルス感染症の拡大に伴う入国規制に関連して、とりわけ2週間の自主隔離期間を確保するのが日程的に困難だったためである。また議会議事堂襲撃事件に代表されるように、米国では暴力的なデモやアジア人が襲撃される事件が発生するなど、円滑な調査が見込めない状況もあった。研究期間の延長を申請して承認された。
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