調査資料を分析し、料理に使用される素材や食品の名称が固有の地域をイメージさせる作用に着目した。学術的に「テーマ」を概念化すると、マイケル・ポランニーの暗黙知理論における創発のモデルとして理解することができる。フードカートや市場、バルやレストランに人々が集うのは、必要な物品を入手する実利的な側面に加えて、非日常的な雰囲気を楽しむためでもある。そうした雰囲気は食料、メニュー、店舗の名称や形状などから創発されるが、この時にエスニシティは好意的な刺激となり、都市空間では「異文化というテーマ」として機能することが明らかになった。
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