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2019 年度 実施状況報告書

フランス財団法人法制の系譜学

研究課題

研究課題/領域番号 18K01208
研究機関東京大学

研究代表者

齋藤 哲志  東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (50401013)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード財団 / 法人 / 教会 / 死者 / 遺言
研究実績の概要

中間年度である今年度の研究内容は以下の2点から成る。第一に、《目的① 財団理解の歴史的系譜の探求》に関しては、前年度中に行った19世紀末~20世紀初頭の政教問題の取りまとめを行うとともに、検討の時間軸を前後に延伸した。一方で、ジュフレ=ド=ラ=プラデルのテーズ(1895年刊)を導きに革命以前のマンモルト批判の系譜をたどり、ルイ15世=ダゲソーのマンモルト王令(1749年)につき、当時における遺言慣行の整序という文脈に照らしつつ詳細に検討した。他方で、同じく遺言による財団設立に関してドゥモーグの法主体論=法人論を取り上げ、死者論としてこれを敷衍する論考を準備している。
第二に、《目的② 財団の現代的利用形態の解明》について、他の科研費課題による海外出張の機会を活用して寄附基金法人の利用実態にかかる調査を行った。遺留分との調整を主たるポイントとしたが、負担付き受遺者も遺言執行者もいない場合に設立手続を実施すべき主体の如何が実務上の焦点であることが了解された。相続人間での調整のあり方、そこへの法実務家の関与のあり方が問われる。また、遺言による設立の場合、設立までの猶予期間が1年に限られることへの批判が強い。いずれの点も、他の財団の形態(公益認定財団法人、他法人管理財団)との比較が必要である。
なお、特筆すべき点として、国際学会において同一パネルで報告したシャルル・バユレル教授(ナント大学)との意見交換を挙げておきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

関連領域で成果があるにとどまり、本課題固有の成果公表は(出版スケジュールの問題もあったとはいえ)次年度に繰り延べざるを得なかった。また、昨年度に引き続き、他の課題とのエフォートの調整という難題に直面している。とはいえ、当該他課題での海外出張を活用する形で調査を進めることが叶い、必要資料の消化の程度も高いレベルで維持できている。おおむね順調との自己評価を付する。

今後の研究の推進方策

現今の状況から大きな制約を受けることを覚悟しなければならない。既に、本研究に直結する国際会議での報告2件がキャンセルされた。適時の意見交換の機会が失われたことになるが、着実に研究を進め、2021年初頭に重なる形で設定された代替日程の下でも無理なく対応しうるよう努めるものとする。

次年度使用額が生じた理由

他の科研費課題による出張を優先させたことによる。国際学会での報告および調査のために海外旅費として使用する予定であるが、出張を断念せざるをえなければ、これまでの成果から新たに主題を展開し、そのための文献購入や資料取り寄せに充てるものとする。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Vulnerabilite et aptitude au Japon2020

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi Saito et Ippei Ohsawa
    • 雑誌名

      Travaux de l’Association Henri Capitant

      巻: 68 ページ: 未定(校正済)

  • [学会発表] Des enjeux du droit des successions au Japon : presentation de la reforme par la loi du 13 juillet 20182019

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi Saito
    • 学会等名
      Conference l’IRDAP (Universite de Bordeaux)
    • 招待講演
  • [学会発表] La reserve hereditaire, aspects de droit positif et de droit prospectif2019

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi Saito
    • 学会等名
      Seminaire franco-japonais (Universite de Nantes) : Transmettre son patrimoine
    • 国際学会
  • [図書] Les consequences juridiques et sociales du vieillissement. Regards croises en France et au Japon2020

    • 著者名/発表者名
      Emmanuel Aubin, Eri Kasagi, Loic Levoyer et Tetsushi Saito (dir.),
    • 総ページ数
      270
    • 出版者
      Presses universitaires juridiques de Poitiers
    • ISBN
      9791090426955

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公開日: 2021-01-27  

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