研究課題/領域番号 |
18K01211
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
原田 綾子 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00547630)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 面会交流 / 家族法システム / オーストラリア / アメリカ / 子どもの代理人 / 手続代理人 |
研究実績の概要 |
本研究者は、2020年度までの研究を通じて、離婚に伴う子どもの問題の解決の仕組みを整備するにあたって子どもの意見表明権の保障が極めて重要であるという視点を獲得したが、2021年度は、この子どもの意見表明権に関する内外の文献を収集して集中的に読み込み、その理論的基礎を確立する作業を行うとともに、オーストラリア・アメリカ・日本における制度状況を調査しその現状と課題を把握する作業に従事した。本年も新型コロナウィルスの影響で海外渡航ができない状態が続いたが、オンライン(Zoom)でオーストラリアの子どもの代理人弁護士へのインタビューを実施するなど、遠隔的方法で現地の最新状況の把握に努めた。日本の制度については、子どもの手続代理人の制度に注目し、弁護士インタビュー調査の整理検討を継続して行い、所属する研究会において「子どもの手続代理人と子の意見表明」と題する研究発表のかたちで中間報告を行った。また、子どもの意見表明権の保障について家庭裁判所の調査官に対する講演を実施し(原田綾子「オーストラリアの子の養育メディエーション:子どもの利益に焦点を当てた合意形成の支援と子どもの声を聴く取組み」)、その機会に日本の家裁調査官による子どもの意見聴取について実務的な観点から意見交換を行うこともできた。また、オーストラリア日本学会Japanese Studies Association of Australia (JSAA) 2021 Conference(2021年10月) において子どもの監護に関する日本の法改革の現状について研究発表を行い(Ayako Harada, Child Custody Disputes in Japan: A Cultural and Institutional Perspective)、オーストラリアの研究者から多くのフィードバックを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オーストラリア、アメリカ、日本に関する文献による情報収集はほぼ予定通り進んでいる。研究成果がある程度まとまった段階で、学会発表や研究会発表も実施してきており、オーディエンスとの対話や交流を通じて分析の質も向上してきたという手ごたえがある。今年度もコロナの状況下で海外での現地調査は実施できなかったが、オンラインでの国際学会参加やオーストラリアの弁護士インタビューなど、現地の研究者や実務家からの情報取集や意見交換もできたと考えている。今年も、引き続き文献による調査を中心としつつも、調査方法を工夫して海外の学者や実務家との交流や意見交換の機会を持てるよう努めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの研究を通じて、家事事件手続における子どもの意見表明権の保障という視点から、子どもの監護や面会交流に関する法的決定を適格に行いその円滑な実施を保障していくためにどのような制度構築が必要か、実体法上、手続法上のルールの在り方としてどのようなものが有効であるかについて、検討を進めてきた。本研究全体としての成果がまとまってきたと考えているので、本年度は、子どもの意見表明権の基礎理論研究や各国の制度に関する情報の収集や分析を引き続き行いつつ、研究成果をトータルとして整理して単著の公刊に向けて執筆作業を進めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で海外渡航ができなくなり、また、国内の会議もオンラインでの参加方式に切り替えられるなど、出張費の使用が困難となったため。
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