研究課題/領域番号 |
18K01214
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂口 一成 大阪大学, 法学研究科, 教授 (10507156)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中国法 / 犯罪 / 損害賠償 / 民刑峻別 / 民事責任と刑事責任 |
研究実績の概要 |
2年目の2019年度は、実務における民事(責任)と刑事(責任)の関係(以下「民刑関係」と略す)を析出するために、主に裁判例研究を進めると共に、現地ヒアリング調査を行った。具体的には以下のとおりである。 ①裁判例研究 『最高人民法院公報』、『刑事審判参考』、『人民法院案例選』といった公式・準公式裁判例集のほか、「中国裁判文書網」(http://wenshu.court.gov.cn/。最高人民法院運営)や「北大法宝」(http://www.pkulaw.cn/)を用いて、「刑事損害賠償」と「民事損害賠償」の別異取扱いに関する裁判例を収集・分析した。 ②2019年9月に北京に赴き、中国人民大学法学院および北京師範大学法学院を訪問し、研究者(民法学、刑法学、民事訴訟法学など)に、民刑関係をめぐる実務の状況、各学界の評価、理論動向などについてヒアリングした。また北京市内で資料収集(書店で図書購入)を実施した。 ③関連する文献の収集・読解を進めた。収集は日本で購入したほか、現地で購入したり(②参照)、CNKI(http://gb.oversea.cnki.net/Kns55/。中国学術文献オンラインサービス)等のデータベースを利用した。 ④これまでに得た知見を、『現代中国法入門(第8版)』(有斐閣、2019年)の第9章に反映した。 ⑤2019年12月に、所属校の「ランチ・ミーティング」において、中間的成果として「中国における刑事と民事の関係の一断面――犯罪に起因する損害賠償の別異取扱いをめぐる最高人民法院の立場を切り口として」を報告し、参加者の批判を仰ぎ、意見を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究計画調書」記載の年度計画をほぼ予定どおりに遂行したことから、おおむね順調に進展しているものと判断した。なお2020年3月に1週間ほど広東省に現地調査に行く計画を立て、準備を進めていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2019年度は断念した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の2020年度も、「研究計画調書」記載の年度計画を進めていく。具体的には前半は民刑関係論の歴史的考察に注力し、その後、知見をとりまとめ、論文執筆を進める。なお、現地調査遂行の環境・条件が整えば、現地ヒアリング調査(候補地は広東省)に行く。
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次年度使用額が生じた理由 |
主には2020年3月に予定していた現地調査が、新型コロナウイルス感染拡大により実施できなくなったためである。次年度に調査可能と判断できれば実施するが、できなければ主に資料収集に用いる。
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