研究課題/領域番号 |
18K01225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
北野 かほる 駒澤大学, 付置研究所, 研究員 (90153105)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 15世紀初期イギリス / rape / 民事侵害 (civil trespass) / 婚姻適性喪失 / 事実上の婚姻解消 |
研究成果の概要 |
イギリス15世紀初期の王座裁判所記録集(民事編)の相当多数の"rape" 被害を主張する「民事侵害訴訟 civil trespass」には共通する諸特徴があり、そこから、提訴の目的は「妻への性的暴行」に対する損害補填」ではなく、「婚姻(継続)適性の喪失主張」→外観上成立していた婚姻関係の解消・不存在の公知が目的だと推測される。
極めて例外的ながら、被告が出廷して「訴えにある期日には当該女性は原告の"妻"であったが、その後の原告被告間の話し合いの結果、和解が成立して、当該女性は現在は被告の"妻"である」と訴答している例がある。ただしこの事案の「夫婦関係」の教会法制上の評価は確認できなかった。
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自由記述の分野 |
中世イギリス法制史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
少なくとも中世後期のイギリス社会の「婚姻」および「婚姻関係解消」をめぐる社会的通念が、従来受容されてきたカトリック教会のテーゼに必ずしも合致するものではなかった可能性と、世俗法による簡明な「婚姻関係解消手続」が成立しえなかった社会的背景のもとで、世俗法の通常の審理手続を緩和する「婚姻関係解消」の方策が、事実として成立していた可能性を示唆した。今後の社会史研究に対するひとつの視点を提供できたと考える。 強固に定着している「婚姻関係解消不能」とりわけ「離別」による再婚の手続的困難性を反証するには個別事例の状況解明が必要でしかも困難だが、少なくとも累計調査結果を、今後なんらかの形で公表したい。
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