研究実績の概要 |
課題第6年度目の2023年度は、当初は21年度までに予定していた海外調査、とりわけ、法律専門日英辞書について英語ネイティブ法律家との意見交換と共同編集作業を行うための海外調査を実施した。また、これと平行して、従来の作業を継続する形で、日本法を英語で発信するための英語辞書作成についての作業を進めた。この部分の研究成果をデータベースの形で公開することも予定しており、2024年中に商業データベースの一部として公開する予定で作業が進行している。 ところで、この法律専門日英辞書作成作業の背景にあるのは、Common Lawや背景文化と密接不可分な言語であると同時に、国際的標準コミュニケーション言語でもある英語を用いて、Common Law系に属しない日本法を如何に表現することが適切か、という課題・問題意識である。そこで、引き続き、民法、刑法、憲法といった基本的な法分野における法律用語とそれに共通する基本的法概念について、法系の差を超えて英語でこれを表現するための用語を1~5語選択し、用語法の揺れを含む注記を付す作業を行った。また、日本法を英語で国際的に発信することで用例を得、また英語話者が正しく日本法を理解しているかどうかを知ることも重要であることから、「国際仲裁総合研究所」(JIIART)と連携し、同研究所のオンライン国際シンポジウムを共催(2024年1月27日ほか。ただし、経費については共催先が負担したために当科研費からは支出していない。)し、経験の深い専門同時通訳者による日本法表現について記録する調査研究を行った。 最後に、英語による日本法情報発信の実際の取組として"Privacy and Personal Data Protection Law in Asia"(Hart Publishing, 2025出版予定)に日本に関する章を執筆した。
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