本研究課題は、唐律に比べて軽視されてきた宋代の刑罰法典である勅の構造と内容、ならびに唐律との相互関係の解明に資する基礎的材料を提供し、延いては前近代中国法の継承と発展に関する理解の再検討を促すものである。4年度間の研究活動の成果として、南宋の法書『慶元条法事類』から宋勅を抽出集成して校訂を加えた「慶元勅集成稿」、集成勅条のうち重複条文を統合し節略条文を補訂して宋勅の原文の復原を試みた「慶元勅復原稿」、復原勅条を北宋の法書『宋刑統』収載の律条・令式格勅条・起請条と比較対照した「宋刑統慶元勅合編稿」の稿本3篇を作成し、本研究課題の科学研究費助成事業研究成果報告書に掲載して公表した。
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