研究課題
2022(R4)年度は、前年度までの研究内容をふまえ、ヘイトスピーチ(憎悪表現)への法的対処に関する憲法学上の諸論点のうち、とくに日本国内における憲法学上の議論を国際社会に発信することに重点を置いて研究活動を行った。具体的には、まず、日本国内におけるヘイトスピーチの問題の一類型として、インターネット上における被差別部落の地名の公表の問題に焦点を当て、従前の学説及び近年の諸判決をふまえた分析を行ったうえで、2022年7月の国際学会において、英語での報告及び意見交換を行った([学会発表]。さらに、主に女性を侮辱する目的でなされる個人の性的画像の同意なき拡散行為にも焦点を当て、当該行為に関する日本国内の近年の法改正と判例状況を分析・考察したうえで、英語で論文を取りまとめて公刊した([雑誌論文]。また、当該論文に関しては、オンラインシンポジウムでの報告も行った([学会発表])。これらの研究のうち、前者のテーマについては、日本固有のヘイトスピーチの問題に関する研究を国際的に発信するものとし一定の意義を有すると考えており、後者のテーマについては、多くの法域に共通する表現の自由をめぐる問題に関する日本法の観点からの分析として一定の意義を有すると考えている。なお、本科研費研究は、本来、2018(H30)年度から2020(R2)年度までの3年間で完了する計画であったところ、コロナウイルス感染症の流行に伴う研究活動の制約により、2年間の延長を余儀なくされたものであるが、そうしたなかでも一定の成果を上げることができたと考えている。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Australian Journal of Asian Law
巻: Vol. 23, No. 2, Article 9 ページ: 125-138