本研究により、米国の判例において、閉ざされた公共交通空間や住居空間に関しては利用者の保護や住居の静穏の保護等の利益が重視され、今日においても「囚われの聴衆」理論を援用することで憎悪表現の付随的規制が正当化される場面があることが確認できた。また、米国の大学において、ハラスメント表現該当性が比較的幅広く解釈されて憎悪表現等の発信行為が不利益処分等の対象となった複数の事例があるほか、学説においては規制しうる表現の条件を具体的に示されていることが確認できた。さらに、日本の憎悪表現規制に関する諸論点についての分析及び考察の結果を国際ジャーナル等において英語で公表することができた。
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