研究課題/領域番号 |
18K01251
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
手塚 貴大 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (50379856)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 税務行政 / 不動産税務行政 / 効率的財産評価 / 情報収集・活用と行政 |
研究実績の概要 |
本年度は不動産税務行政を具体的素材として、効率的税務行政の検討を行った。具体的素材はドイツにおける不動産税務行政の改革論である。不動産税はわが国の固定資産税に相当する税目であるが、ドイツにおいては不動産税の財産評価作業が長期間滞っていたところ、できるだけ効率性のある評価作業の構築が求められており、評価方法の見直しは勿論のことであるが、それに関連して、評価作業に必要な、精確性のある情報を如何にして獲得するかという議論がなされていた。 研究成果に基づけば、効率的作業を可能とするのは、私人に対する情報提供の義務付けによる情報収集の確実性、精確性であり、それを基に、できるだけ手作業を介在させることなく、機械的作業を通じて財産評価を行うようにすることが効率的行政作用の鍵である。例えば、どの程度評価額を減額させるべきか、等を厳密に実施すると、行政活動は行き詰る。そこで、評価手法の合理性の担保を確実にしつつ、いわば一定程度の概算的評価を実施することが重要である。勿論、概算性に基づく評価を正当化するのは、先の行政による市場動向等をできるだけ精確に反映する情報の獲得である。 なお、財産評価の精確性を維持することが難しいことを直視し、不動産税における時価に相当する価額の評価を放棄する余地も学説上は検討されていたようであるが、実務では採用されていない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は、新型コロナウィルスの関係で海外出張をすることができずに、それに相当する予算の執行ができなかったが、研究の構想自体はある程度進捗し、必要な資料をある程度収集することができた。目下それを基に論文執筆を進行させている途上である。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度、本年度ともに新型コロナウィルスの関係で、予定されていた海外出張ができなかった。来年度は海外出張を実施し、その上で研究を完成させたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、前年度に執行しようとしていた海外出張費の執行が今年度においてもできなかったため、残余額が生じてしまった。本年度において執行の機会を待っていたが、新型コロナウィルスの関係で執行できなかった。そこで、来年度に計画期間を延長し、執行の機会を待つこととするが、それでもなお執行機会の到来が期待できない場合には、早期の段階で主として図書費として執行し、海外出張を通じて獲得しようとしていた資料等を取得することとしたい。
|