研究課題/領域番号 |
18K01252
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
井上 武史 関西学院大学, 司法研究科, 教授 (40432405)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 公法学 / 憲法 / 結社の自由 / 団体規制 / 家族 |
研究実績の概要 |
「地方議会議員に対する出席停止処分と司法審査」法教488号58~64頁では、約60年ぶりに判例変更を行った岩沼市議会出席停止処分事件判決(最大判令和2・11・25民集74巻8号2229頁)を取り上げて、自律的団体の内部に司法審査が及ぶのかという問題について考察した。 団体の一種としての家族について、「別居後の親子の面会交流権と憲法:面会交流立法不作為違憲訴訟の検討」法と政治72巻1号293~320頁では、別居親と子との面会交流の権利行使の機会を確保するための立法措置が行われていないことが憲法違反であるとして争われた違憲国賠訴訟を取り上げて、憲法上の問題点を検討するものである。取り上げるのは、東京地判令和1・11・12とその控訴審判決である東京高判令和2・8・13である。面会交流については家族法においてもそれが権利であるかどうかが争われているが、本稿では、この問題が憲法および国際人権法の観点から人権として評価されるべきではないかとの問題提起を行った。 また、<Quelques particularite de la Constitution japonaise de 1946>, in Julien Boudon (dir.)『L'irreductible originalite des systemes constitutionnels a la lumiere des experiences francaise et japonaise』では、日本国憲法が比較憲法的に有する特徴を、データや図表を用いて、またフランス憲法との比較を通じて示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伝統的な団体規制領域だけでなく、フーリガン対策での団体規制や団体内部と司法審査の問題を検討したことによって、研究の幅が広がったと考えている。一方、テロ後やコロナ禍の緊急事態宣言下で強化された規制措置は手付かずであり、今後の課題となっている。
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今後の研究の推進方策 |
憲法原理から団体規制法を理論的に検討する本研究課題では、具体的な規制措置のあり方だけでなく、それに対する裁判的統制のあり方も重要な課題となる。近年、テロ後やコロナ禍での緊急事態宣言によって団体規制が強化されているが、それに対する裁判所の判断も蓄積されつつある。今後はそれらの判例を分析して、判例法理の方向性をつかむ研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で国内出張および海外出張ができなかったため、当初の計画通りに研究を進められなかったから。繰り越し分は、現地調査や研究会出席などの費用に充てたいと考えている。
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