研究期間を通じ、差別と差別されない権利を法概念として明確化し、また、夫婦別姓問題・離婚後の子どもに対する合理的配慮の不足・同性婚そのほかの性的マイノリティの権利などについて、各論的に深い考察を行った。 本研究が行われるまで、差別の定義は混乱していた。本研究は、それを整理し、問題を丁寧に分節することに成功した。特に、差別と偏見の差異は、価値と事実認識という古典的な分類軸により整理ができる。特定の人種や性別に対する貶価的価値観と、誤った事実認識は、いずれも「差別」と呼ばれてきた。しかし、それぞれ性質が異なり、その問題の解消方法も異なる。本研究はこれを出発点にすることで、差別概念の整理を進めた。
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