ヘイト・スピーチは日本においてもその解消が目指されている問題である。在日コリアンを対象とするヘイト・スピーチに関する事件が発生し、それへの対応を巡り、学問的にも社会的にも大きな議論が巻き起こっている。近年のこうした議論の特徴は、日本でも現行法とは別にヘイト・スピーチへの法規制の導入を検討するものが多いことである。しかし、本研究は、規制を行う国家権力の性格・実態や、思想の自由市場の役割、規制の効果等、それらが日本社会においてどのような意味を持つものかを考察して、現在取られているヘイト・スピーチの諸対策を分析し、法による規制以外の解消方法を模索した点に意義がある。
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