本研究は、インターネット上で公権力によって行われるどのような情報収集活動が個人に重大な不利益を生じさせ、立法という形での「有権者の代表機関による同意」を求めることで統制されるべきかを、主にプライバシー保護の観点から明らかにすることを目的としていた。こうした目的から、本研究の目標は「インターネット上での、公権力によるどのような空間における、どのような情報収集が個人のプライバシー権等の憲法上の権利を侵害し、『具体的な法律上の根拠・立法』という形で『有権者の代表者による同意』を得ている必要があるか」を明らかにすることであった。 既に2020年度までの、文献調査を通じた研究により、インターネット上で捜査員が自らの素性を明かさずに行う情報収集活動の問題は、ドイツにおいては「特定性の要請」という憲法上の問題として構成されており、日本国憲法においてそれは、憲法31条の適正手続主義の一内容として理解できるのではないかと見解をもつに至った。しかし、本研究の最終年度(2020年度)において新型コロナウイルスの流行拡大に見舞われ、ドイツ国内での総括的な研究活動ができなかったため、二度にわたり研究期間を延長した。 2022年度になり感染症の拡大状況にも一定の落ち着きがみられたため、9月にドイツ国内で文献調査を行うことができた。また、補充的な研究を行うために若干の書籍を購入し、それれまでに明らかにした事柄について、補充的・裏付的な研究を行った。
|