本研究は公権力が情報の発信者に不利益を与えるという問題に注目した。また、インターネット上での公権力による情報収集の限界を、「収集が行われる空間」(等)も類型化して明らかにした。こうした発想自体は、日本でも紹介され、アメリカの「モザイク理論」にも見られるが、この理論は令状の要否という文脈で登場しているものであり、「手続の法定」(立法)を要請する明文規定はが合衆国憲法にはない。日本の最高裁も「手続の法定」を厳密には求めていないため、インターネット上での公権力による情報収集の重層性を「手続の法定」という憲法上の要請と関連づけながら、ドイツの議論を参照したことには一定の意義があったといえる。
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