研究課題/領域番号 |
18K01281
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
金 彦叔 文京学院大学, 外国語学部, 教授 (00554461)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際裁判管轄 / 国際私法 / 比較法 |
研究実績の概要 |
本研究は、日韓における新しい国際裁判管轄法制の立法化の動きを受けて、日韓の国際裁判管轄に関するルールの形成・適用・発展を比較法的観点から分析することによって、アジアにおける国際裁判管轄法制の調和の可能性や方向性を模索するものである。 本研究の研究対象と一つである韓国の「国際私法全部改正法律案」(2018)は、国会の会期終了に伴い成立されず廃案となった。同法律案は次の会期を迎えた国会に再び提出されており(2020年8月)、現在審議中である。成立にまだ時間がかかりそうな状況となった。 これらの状況を踏まえて、本年度は、日本における国際裁判管轄規定の運用を注視しながら、日韓の比較国際私法的観点から個別トッピクについて検討を行った。また、ハーグ国際私法会議で採択された外国判決の承認執行条約(2019)や、シンガポールを中心に作成されている外国判決の承認執行に関するアジア原則(2020)にも注目し、ルールの形成やその発展過程について検討を行った。 本年度の研究成果としては、韓国の国際私法学会で「国際ライセンス契約と国際私法―日韓比較国際私法的観点から」というテーマで研究報告を行い、韓国の学会年報に論文を公表した。また、個別問題として文化財の不法取引に注目し、早稲田大学比較法研究所にて「文化財の不法取引と国際私法」というテーマで研究報告を行い、法律雑誌や大学紀要に論文を掲載した。 次年度は、アジアにおける国際裁判管轄法制の形成過程に注目しつつ、将来に向けての国際裁判管轄法制の調和の可能性や方向性に日韓での営為が如何に影響するかを考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大により、海外との研究交流や調査等が遅れている。また、本研究において比較法的研究の対象となっていた韓国の「国際私法全部改正法律案」が国会で成立されず会期終了に伴い廃案となった。現在再び国会に提出され現在審議中である(法律案の内容は同一)。それに伴い、法律案成立後の公表予定の原稿が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目的は、法規範の国際的な統合と地域的な分散化が、ルールの形成・適用・発展の過程でどのように現れているかを、日韓での国際裁判管轄法制の発展過程を素材に理論的かつ実証的に分析するとともに、日韓でみられる営為が他のアジア諸国には如何に波及し、影響し合うかを考察することによって、アジア地域における国際裁判管轄法制の調和の可能性や方向性を探ることである。今年度は、本研究の最終年度として、本研究の目標達成に向けて研究内容をまとめていきたい。研究成果は、今後、論文や書籍、学会での報告を通じて発信していく予定である。。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が発生した主な理由は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外での研究調査や学会参加ができなったためである。次年度は、海外での研究調査や学会参加等が再開されることを期待しながら、旅費や文献購入、物品購入等にあてたい。
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