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2018 年度 実施状況報告書

「第三国による対抗措置」の理論的および現実的妥当性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K01282
研究機関立教大学

研究代表者

岩月 直樹  立教大学, 法学部, 教授 (50345112)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード基本的人権 / 人権外交 / 対世的義務 / 対抗措置 / 経済制裁
研究実績の概要

本研究の実施初年度となる2018年度においては、「第三国による対抗措置」を独自の法概念として提示する学説を批判的に検討するため、学術文献および資料の検討を中心に、基本概念の整理と当該学説の理論的な検討を行った。まだ本作業は完了していないものの、主に(1)対世的義務に基づく共通利益に「第三国による対抗措置」を位置づけ、独自の法制度として捉える見解、(2)国家責任法の実施手段として国家責任制度の一部として位置づける見解に分けられる。しかしこれら両者の見解にはいずれについても、理論的また現実的な(実行上の)妥当性という点でいくつかの問題があることを確認した。
この現実的な妥当性に関わる問題点をより実証的に検討するための資料を収集するために、研究計画で予定していた米国公文書館での調査を行った。米国公文書館では主にカーター政権期の人権外交に関わる資料の調査を行い、適宜、デジタルカメラで資料を撮影した。本資料の整理と詳細な検討はまだ終了しておらず、2019年度においても引き続き行う予定でいる。
これまでの調査の結果、自国民が被害者となっているかにかかわらず、大規模な人権侵害行為それ自体を国際的な問題として米国および西欧諸国が外交的な非難を及ぼすようになったのは1970年以降となってからであり、国際司法裁判所によって対世的義務の概念が示された時期と重なる。もっとも、同概念が直接にそうした実行の契機となったとは考えにくい。どのような政治外交的考慮を背景としてそうした実行が行われたのか、引き続き一次資料及び二次文献の検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた通りに一次資料の収集及びその検討を進めることができている。また理論的検討についても二次文献の検討を中心に進めつつ、一次資料の成果をふまえた再検討を進める準備を調えることができている。

今後の研究の推進方策

当初の研究計画に示した通り、一次資料の調査を進めつつ、「第三国による対抗措置」理論の批判的検討を理論と実行の双方の観点から進めることを予定している。
特に本年度は、研究上の問いとして提示したもののうち、① 国家実行上、「第三国による対抗措置」の原因事実を「対世的義務の違反」として一般的に定式化することは妥当ではなく、むしろ国際社会の基本的秩序を脅かす事態に限られているのではないだろうか?また②「対世的義務の重大な違反」は、国際社会の基本的秩序を脅かす事態が現に存在することを確認するための必要条件であり、十分条件ではないのではないか?について一定の見解をまとめることを目標として作業を行う。そのために、欧州連合の「制限的措置」に関する原則策定過程及び実行の調査および欧州連合本部における外交実務担当者へのインタビューの準備し、実施する。

次年度使用額が生じた理由

物品費購入の予算額と実額との差から生じた差額であり、次年度の物品購入費に充てることで消化する予定である。

研究成果

(1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 第三国による対抗措置2018

    • 著者名/発表者名
      岩月直樹
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 765 ページ: 49-55

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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