研究課題/領域番号 |
18K01283
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
河野 真理子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90234096)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際司法裁判所 / 国連海洋法条約 / 特別アフリカ裁判部 / 投資紛争 |
研究実績の概要 |
2020年度は、特に国際刑事法と国際投資の分野における裁判手続に関する研究成果を公刊する機会が多かった。前者については、訴追又は引渡しの義務に関する問題事件(ベルギー対セネガル)の判決後に、セネガルの国内法制度に特別に設置された特別アフリカ裁判部の判決の検討も含め、国際司法裁判所の判決を履行することの意義を検討する論文を執筆した。 国際投資の分野については、投資条約、自由貿易協定及び経済連携協定の下での投資紛争の解決のための仲裁裁判制度についての研究を行った。特に、この分野では、多くの条約が重複的に締結される状況にあり、1つの投資紛争について、複数の条約の紛争解決制度を利用することが可能になっている。さらに、投資紛争の一部の論点が投資契約に関する紛争として国内裁判所に付託される事例もみられる。したがって、一部の投資紛争では、国際的な仲裁裁判手続と国内の裁判手続が重複的に利用されるのである。こうした事例の分析は、国際裁判の新たな問題点を提起していると考えた。 さらに、2020年度から2021年度にかけて執筆した論文では、地中海経由で欧州に不法に入国しようとする移民の保護に関して、欧州人権裁判所と自由権規約委員会の意見が示された例を扱うこととなった。 この年度の研究は、これまでの国際司法裁判所と国連海洋法条約第15部の下での国際裁判制度の下でどのような裁判手続の重層的性格に着目してきた研究に、より多様な義務的裁判制度との比較という新たな視点をもたらし、考察をより深める結果をもたらした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、新型コロナウィルスの蔓延の影響により、外国出張ができなかなった。また、講義科目のビデオ収録とレポートの採点に予想以上の時間を要したため、研究に費やせる時間が例年より少なかった。 外国出張ができないという点は、ZOOM 等のオンラインを利用することで補った。またビデオ収録とレポートの採点のための時間が多く必要だったとはいえ、自宅でインターネットを通じた検索を行う時間を多くとることができ、また、原稿執筆に使える時間も多かったため、比較的順調に論文を公刊できた。 ただし、依頼された論文が多かったため、本研究計画の最終目的としていた、英文によりまとまった成果を公刊することが実現できなかったことを非常に残念に感じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要で記したように、2020年度は依頼された原稿を執筆することにより、研究の幅を広げることができた1年であった。それらの依頼された原稿は国際司法裁判所と国連海洋法条約第15部の下での義務的裁判制度それ自体を扱うものばかりではなかったものの、いずれも条約によって設けられた義務的裁判制度に関する研究を必要とするものであり、研究の幅を広げることに有効であったと考えている。 2018年度から2020年度の本研究の成果を受けて、2021年度から2023年度の予定で「現代国際社会における普遍的及び地域的国際裁判制度と国内裁判制度の相互作用」との題目で、科学研究費を交付していただくことになっている。この研究は、普遍的及び地域的な義務的国際裁判制度の意義を、国内裁判制度との関係も視野に入れつつ、考察しようとするものであり、本研究によって得られた研究成果をさらに発展させるものとなると期待している。今後3年間で、まとまった研究成果を英文により公刊したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの蔓延のため、予定していた外国出張ができなかったため、旅費が発生しなかった。なお、外国出張の代替措置として、ZOOM等によるオンラインでの面談等を行った。
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