研究課題
基盤研究(C)
最も重要な国際経済紛争処理制度である世界貿易機関(WTO)紛争処理と投資仲裁において、国際法の原則及び規則がどのように用いられているかを研究した。特に、以下の2点について成果を挙げることができた。1点目は先例の位置づけである。条約解釈において過去の解釈慣行がどのように考慮されるかを明らかにした。2点目はいわゆる謙譲(deference)の問題である。紛争処理制度において国の規制の国際法適合性が評価される際に国の主権(規制権限)に配慮して抑制的な審理が行われているかを明らかにした。
国際法
本研究によって、国際経済紛争処理制度と一般国際法との関係や同制度の国際法秩序における位置づけを明らかにすることができた。今日、気候変動をはじめとする持続可能性や経済安全保障のように、経済とそれ以外の国際問題との関係がますます重要となっており、本研究は学術的意義のみならず今後の国際秩序のあり方を考えるうえでも重要な示唆を与えると考える。