本研究では、企業のネットワーク化における労働者保護と集団的参加の仕組みに関する検討を行い、CSRにもみられる労働者の基本権尊重、共通利害にもとづく労働者の集団的権利行使のための情報提供の確保、企業間の協働目的や関係性に応じた雇用・労働リスクに関する共同責任の承認が、今後の労働法の発展方向として重要であることを指摘した。これとの関連で、雇用と企業組織によらない働き方に関する日本の政策動向についても検討を行い、不完全就業問題の本格的な再来が懸念されることを示した。また企業に従来期待されていた労働者の技能形成について、労働者主導でかつ社会化された仕組みが重要となることを明らかにした。
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