研究課題/領域番号 |
18K01304
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
江口 隆裕 神奈川大学, 法学部, 教授 (10232943)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フランス / 移民政策 / 同化主義 / 家族呼寄せ権 / 移民支援団体 |
研究実績の概要 |
2019年度は、9月11日から20日までフランスを訪問し、実態調査を行った。パリでは、アラブ世界研究所(Institut du monde arabe)や国立人口問題研究所(ined)で移民の実態に関する資料の収集を行った。また、MRAP(Mouvement contre le Racisme et pour l'Amitie entre les Peuples)を訪れ、移民家族に対する支援のヒアリングを行った。当初団体のボランティアと称する女性が対応してくれたものの、十分な説明と資料を得られなかったため、再度のアポを約束し、改めて訪問したところ、そのようなアポは聞いていないと受付で断られた。最初に会った女性が独断で対応していたようであり、現地調査の難しさを実感した。この他、パリ郊外のArgenteuilにあるRACINES ET HORIZONSというAssociationの総会に参加した。 14日から16日まではボルドーに赴き、ASTI(Association de Solidarite avec Tous les Immigres)Bordeauを訪問してヒアリングを行った。この団体では、退職した弁護士と元財務省職員という2名の高齢女性が対応してくれたが、フランス人と外国人の不平等を是正し、外国人の自由な移動と自由な定住を求めるという団体の目的及び活動内容は明確で、説明も適切だった。 さらに、10月にインターネットを使って、イスラム教排斥運動に対する救済に重点を置いた支援組織CCIF(Collectif contre l'islamophobie en France)に対するインタビューを行った。 全体として、移民支援のためのAssociationといっても、活動内容が多様であるだけでなく、その実態も千差万別であることを実感した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、フランスにおける移民家族の状況調査を予定していたが、これについては資料の収集がある程度できたと考えている。また、移民家族の社会統合の問題は、フランス国民相互間における平等原則適用の問題であるとの視点から、移民の社会的統合を支援するassociationにヒアリングを行ったところである。 また、2020年1月末から3月中旬まで、本学の在外研究制度を利用してニューヨークに滞在し、アメリカ合衆国における外国人受入政策と同化主義の関係について調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である2020年度は、研究の完成に向けてフランスで補足的な調査を行い、研究の取りまとめを行う予定である。しかし、新型コロナウィルスの影響で、本学では8月1日まで大学構内への立入りが禁止され、また、調査対象国フランスへの渡航も現時点では困難であるなど、研究遂行上様々な支障が生じているので、今年度中に予定通り調査を終えることができるかどうかは、不透明な状況にある。
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