最終年度は、コロナ禍によって、一切、実態調査やこれにかかわる出張ができなかったが、前年度までの二年間で、「三沢」「横田」「座間」「横須賀」「横田」「岩国」などの米軍基地の実態調査を実施することで、米軍基地で働く「駐留軍等労働者」の労働問題について実態調査を効果的・効率的に実施していた。この経験を踏まえて、①「基地労働と間接雇用」労働と経済第1651号、②「米軍統治下の沖縄から見た米軍基地と軍労働(1)」労働と経済第1654号、③「米軍統治下の沖縄から見た米軍基地と軍労働(2)」労働と経済第1655号、④「フェンスの外から見た『米軍』とフェンスの中から見た『基地労働』」労働法律旬報第1971号、⑤「米軍統治下の沖縄から見た米軍基地と軍労働(3)と結びにかえて」労働と経済』第1658号、⑥「米軍の排他的基地管理権と日本人住民への平穏生活権の保障―米軍基地中の日本の飛び地で生活する日本国民(神奈川県民)(横浜市民)に対する法的救済可能性についての一考察(前半)」沖縄大学経法商学部紀要第2巻、の6本の論文を公刊した。 これらの一連の研究によって、駐留軍等労働者について、日本本土の「間接雇用方式」と米軍統治下沖縄の軍労働における「直接雇用方式」を比較・検証しており、他の研究動向に見られない顕著な特徴となっている。このような俯瞰的・総合的検証によって、つぎの研究課題である、駐留軍等労働者に係る特別立法の作成化という課題のための基礎的資料の整理が実施することができた。 今後は、駐留軍等労働者の法的位置づけを明確化した国内労働法作成を目指し、「基地労働」にかかわる米軍の日米地位協定の解釈無視の問題を劇的に改善させていくという実態的効果に向けて目指していくことになる。
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