2016年刑事訴訟法改正において、被疑者取調べの録音録画が法律で規定され、2019年6月から施行されている。本来、被疑者取調べの記録媒体の使用は、被疑者供述の任意性を確認する資料として利用することが想定されていたが、録音録画導入当初から犯罪事実の存否を証明する証拠(実質証拠)としても利用できないか議論されてきた。本研究は、記録媒体を実質証拠として利用することの意義と限界を証人尋問と対比させて検討し、その条件を探求した点に学術的意義があり、また、裁判員裁判という市民が関与する刑事裁判の形態において、自白の信用性を判断する方向性を提示した点に社会的意義がある。
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