研究課題/領域番号 |
18K01310
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋爪 隆 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (70251436)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 刑法 / 刑事法 / 性犯罪 |
研究実績の概要 |
本研究は、平成29年の刑法改正による性犯罪処罰規定について解釈論的な検討を加え、さらに、今後の課題について立法論的な検討を加えようとするものである。具体的には、①強制性交等罪の成立要件および量刑判断、②監護者わいせつ・性交等罪における要件解釈、③強盗・強制性交等および同致死罪の成立要件などの解釈論上の問題について理論的な検討を加え、一定の解釈論的帰結を得ること、さらに、上記の解釈論的研究と関連付けながら、④強制性交等罪における暴行・脅迫要件の要否、⑤地位・関係性を利用した性犯罪処罰規定の要否、⑥強制性交等罪と強制わいせつ罪の区別の基準などの立法論的な課題について検討を加えることを目的とする。 2019年度の研究においては、昨年度に引き続き、わが国の性犯罪処罰に関する従来の裁判例・学説に関する分析を行った。また、これらの検討を踏まえて、強制性交等罪における暴行・脅迫の意義、さらに監護者性交等罪・わいせつ罪の構成要件の解釈について、理論的な検討を行い、同罪における「影響力があることに乗じて」の意義や児童福祉法違反の罪との罪数関係など、個別の解釈論上の問題について、一定の結論を得ることができた。また、関連する問題として、強制わいせつ罪における「わいせつな行為」の意義について、とりわけ身体的接触を伴わない類型を中心として、理論的な検討を加えた。これらの成果については、なお不十分なものであるが、実務家を対象とする法律雑誌に既に公表済みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較法的な研究が想定どおりに進展していないが、改正刑法の解釈論について理論的な検討を進め、既に一定の研究成果を公表することができたことなどから、全体としては、おおむね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度においても、これらの研究を継続的に実施する予定である。また、ドイツ法圏の立法状況を中心として、性犯罪処罰規定に関する比較法研究を進展させていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国内出張がキャンセルになったこと、また、購入予定であったドイツ法の教科書やコンメンタールの出版が遅れたことから、次年度使用額が生じている。
|