研究課題/領域番号 |
18K01316
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研究機関 | 東京経済大学 |
研究代表者 |
高平 奇恵 東京経済大学, 現代法学部, 准教授 (30543160)
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研究分担者 |
田淵 浩二 九州大学, 法学研究院, 教授 (20242753)
斎藤 司 龍谷大学, 法学部, 教授 (20432784)
石田 倫識 愛知学院大学, 法学部, 教授 (20432833)
豊崎 七絵 九州大学, 法学研究院, 教授 (50282091)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 防御権 / 刑事手続 / 弁護人による援助を受ける権利 |
研究実績の概要 |
日本の刑事司法の現状と、実効的な防御権保障のために整備すべき諸条件について検討を重ねた。理論的な問題にとどまらず、実務の状況や、実務家の意識をも調査対象とし、現実に取り組むべき課題をより明確にした。特に、弁護士、弁護士会調査の結果を踏まえた、実務家の現状に対する認識や、職業意識に関する調査結果は、今後のあるべき具体的制度の分析・検討に有用であると思われる。先行研究として、東欧諸国や、ラテンアメリカにおける関連する専門職の職業意識を射程に入れた調査研究の成果があることから、今回の調査結果が、比較法的研究の手がかりともなる。 現時点での現状分析としては、日本の刑事司法制度の特徴として、統計に基づく有罪率の高さと検察官の訴追裁量権が広範であること、取調べが重視される捜査手法と、取調べ受忍義務論、弁護人の立会権が保障されていないこと等があるが、これらが複合的に作用して誤判が生じるリスクが高まっている可能性があるといえる。そして、実効的な防御権の保障の実現のために今後、特に改革が求められる点として、①公的弁護制度の拡大、②糾問的取調べの改革、③保釈の権利の拡充、④証拠へのアクセス権の拡大、⑤証人尋問における武器対等の実現、⑥再審手続の改革が必要であるとの結論を得た。 この研究成果は、2021年3月9日、京都コングレスサイドイベント(日弁連主催)においても報告した。 サイドイベントでは、西イングランド大学のエド・ケープ教授ら海外の研究者によるコメントもなされた。このサイドイベントの録画データが、コングレスウェブサイトで公開された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大のため、海外の研究者と共同で実施する予定の研究会の実施等について、数次の予定の変更を強いられたものの、京都コングレスがオンラインでも開催されたため、結果としては、研究が概ね順調に進展したものと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
取り組むべき課題、すなわち、①公的弁護制度の拡大、②糾問的取調べの改革、③保釈の権利の拡充、④証拠へのアクセス権の拡大、⑤証人尋問における武器対等の実現、⑥再審手続の改革について、それぞれどのように改革を実施すべきかについてより具体的な研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大等のため、海外研究者を招聘した上での共同研究等の実施が困難となったこと、対面での研究会の実施が困難となったこと等により、次年度使用額が生じる結果となった。 比較法研究のための、さらなる資料収集等を実施する予定である。
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