研究課題/領域番号 |
18K01319
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
白石 賢 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (90526427)
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研究分担者 |
白石 小百合 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 教授 (70441417)
村田 真樹 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (50358884)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 組織文化 / テキスト・マイニング |
研究実績の概要 |
本研究では、組織文化を要因とする企業不祥事を効果的に抑止していくため、諸外国の取り組みのように、組織文化やコンプライアンス体制を構成要件化し組織責任を科すことや、行政処分の要件・命令内容における組織文化等の位置づけを明確にし、新しい責任・抑止理論として提示していくことを目標としている。 このため、第一に、企業実態に即した企業モデルの下で、組織文化の内実、形成過程、組織と構成員との関係、組織文化やコンプライアンス体制の関係を理論的に整理し、法人処罰・責任論を再検討すること、第二に、諸外国、特に、近年の米国の企業不祥事に関する組織文化や組織と構成員との責任関係に関する政策動向を整理すること、第三に、不祥事企業の第三者委員会報告書をテキスト・マイニングすることにより、わが国の不祥事企業の組織文化や組織と構成員との責任関係を実証的に明らかにすることとしている。 研究一年目の平成30年度は、上記、第一の組織文化の形成過程と個人責任の関係に関するモデル化についてのサーベイを行い、現在、論文を執筆中である。本論文は『寺崎嘉博先生古稀祝賀論文集』(成文堂)において公表を予定している。第二の米国の政策動向については、論文・米国政府機関からのデータを収集した。第三のテキスト・マイニングに関しては、計画上、2年目に行う予定のものであったが、データベース構築を早め、上場企業の第三者委員会報告書について、2012年以来のものについて200件程度を収集し、一部のデータクリーニングなどを開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度当初計画では、「研究実績の概要」において説明した、第一の組織文化の形成過程と個人責任の関係に関するモデル化、それに関連して、第二の米国の企業不祥事に関する組織文化や組織と構成員との責任関係に関する政策動向整理を行う予定であった。第一の点については、論文執筆中であり概ね目処がついている。第二の点については、論点整理のためのデータ・論文等を収集した。しかし、まだ十分な整理には至っていない。この点ではやや遅れがある。 一方で、計画2年目に行う予定であった、第三の第三者委員会報告書のテキスト・マイニングに関しては、データセットの整備は目処が立ち(不祥事の発生ごとにデータの追加は行っている)、一部のデータクリーニングに入れるなど大幅に進捗している。 第一から第三の点を総合すると「おおむね順調に進展」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、第一の組織文化の形成過程と個人責任の関係に関するモデル化についての論文完成、第二の、遅れている米国の企業不祥事に関する組織文化や組織と構成員との責任関係に関する政策動向整理について論文・データによる整理の完成を行う。 さらに本研究の柱である、テキスト・マイニングによる実証については、あらたにテキスト分析の研究分担者を追加したことから、データセットを早期に完成することで、テキストの特徴により、通常のテキストマイニングのみならず、複数文書からの重要情報の抽出の方法、TF-IDFを利用した単語ネットワーク分析方法などを併用し、いくつかの方法を行うことでより精緻な分析を行い、それらの結果を取りまとめ、組織文化の内容についての検討を行うこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に予定していた、米国の政策・事例調査のデータベース化、また、2年目のテキストマイニングのデータベース作成用のPC経費を計上していたが、データベース自体を効率的に検索できることができたため、非常勤職員の拘束時間が少なくなり、独自のPCの必要性、雇用時間ともに減少したため物品費、人件費が一部未使用となっている。 平成31年度については、テキスト・マイニング・データの本格的なクリーニング作業によるPCの必要性、雇用時間の増加が見込まれること、また、研究分担者の追加により、テキストマイニングに関するソフト、非常勤職員の新たな雇用が見込まれることから、平成30年度未使用であった、物品費、人件費を平成31年度当初使用予定のものとあわせて使用することを予定している。
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