研究課題/領域番号 |
18K01331
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
角田 美穂子 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (10316903)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | リーガルイノベーション / ロボアドバイザー / AIスピーカー / プラットフォーム提供者 |
研究実績の概要 |
1.一橋大学と産業技術総合研究所、ケンブリッジ大学の三者共同で企画・開催した国際シンポジウム「テクノロジーの進化とリーガルイノベーション」(2019年3月29日)の成果を取りまとめ、公表した。これにより、諸外国の最新の動向を学際的な視点を交えて論ずる際に直面する課題の共有、複雑な現状の分析、人材育成や日本の立ち位置・法制度のあり方についての新機軸を提示することができたと考えている。 2.ロボアドバイザーを例に投資アドバイスを提供するプラットフォーマーがもたらす法的課題についての研究も、2018年10月の金融法学会シンポジウムでの問題提起的な報告を踏まえ、さらに2019年6月には金融審議会のいわゆる2000万円報告書が社会的耳目を集めたことを契機として積年の課題であった「貯蓄から投資へ」が一気に進み、機械代替によるサービス低廉化を実現したロボアドバイザーも普及が進んできたことで、研究をさらに進めた。2019年9月にはケンブリッジ大学における学際的なセミナーにおいて、日本におけるフィンテック法制の課題という視点から研究成果を発表する機会を得て、その報告原稿をもとに英語で研究論文を公表することができた。 3.マックスプランク比較民事法・国際私法研究所の研究員2名と、音声ベースのコミュニケーションを実現するプラットフォーム提供事業者という視点から、AIスピーカーがもたらす法的課題について共同研究を進めており、共著論文として投稿する予定で論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プラットフォーム提供者のスキャンダルが露呈するにつれ、世界各国でプラットフォーム提供者の法的責任論の議論が噴出している。一般理論的な検討をしたいと思っていたが、あまりにも多くの変化が多方面で生じているために、成果としてとりまとめるにはもう少し時間を要する。
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今後の研究の推進方策 |
プラットフォーム提供者の法的責任をめぐる多くの変化を追いながらも、目的は、あくまでも当初から予定していた私法理論的な考察を進めることに置く。そのためには、多方面で生じている変化を捉え、私法理論の観点から分析を加えていくための視点の呈示も必要であろう。
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