研究課題
本研究においては、近年の社会・経済状況の変化に照らして、敵対的買収に関するわが国の事情の動向を観察するとともに、その結果、日本における敵対的企業買収の動向をも観察・分析し、日本は特別ないし例外的な存在であり続けるのかを検討する。令和元年度においては、会社法の再改正が法制審議会でされ要綱が法務大臣に答申され、会社法改正法が成立した。株式交付という新しい企業結合手法が導入されるなど、今後の税制改正の動きにもよることにはなろうが、これが敵対的買収の動向にも影響を与える可能性がある。また、現在検討されている外為法の改正の動向も注目される。また、コーポレート・ガバナンスに対する改革が、開示府令やコーポレートガバナンス・コードの改正・改定と足並みを合わせる形で進められてきた。また、そこで、研究協力者であるナンヤン工科大学ビジネススクールのAlan Koh助教授ととモに、ダブル・コードに関する論文を公表した。また、Dan W. Puchniakシンガポール国立大学法学部准教授との連携を引き続き行っており、Alan Koh助教授とも連携している。当面の研究 は、上記の諸事情に関係して、敵対的買収防衛策に対して資本市場が否定的な反応を強めてきたことから、買収防衛策の継続等の動向を踏まえて、背景的な事情についても分析を行っている。詳しくは、「13.本研究に関連した実施した国際共同研究の実施状況」を参照されたい。
2: おおむね順調に進展している
基本情報の新規収集、更新等を着実に行っている。これまでの研究成果を、国際共同研究の形で、徐々に公表している。査読付き英語論文についても、Social Sciences Citation Indexの対象誌であるUniversity of Pennsylvania Journal of International Law から掲載を受諾されたものを校正中である。
Dan Puchniak准教授、Alan Koh助教授らとの共同研究を進め、論文を雑誌に掲載するなど成果を公開する。詳しくは、「13.本研究に関連した実施した国際共 同研究の実施状況」を参照されたい。また、さらに敵対的買収の将来を分析すべく、ソレキア、伊藤忠商事対デサントに関する支配争奪のみならず、ユニゾ、東芝機械、前田建設対前田道路など、新しく生じた事案についても分析を進めていく。
シンガポール国立大学への出張が、新型コロナのパンデミックのため、延期となったため、次年度使用額が生じた。本年度の出張旅費として使用予定であるが、実際の渡航の目処は立っていない。
すべて 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件)
金融・商事判例
巻: 1577 ページ: 1-1
Holger Fleischer, Hideki Kanda, Kon Sik Kim & Peter Mulbert eds., German and East Asian Perspectives on Corporate and Capital Market Law: Investors versus Companies (Mohr Siebeck)
巻: 0 ページ: 189-201