研究課題/領域番号 |
18K01336
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中東 正文 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00237372)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 敵対的買収 |
研究実績の概要 |
本研究においては、近年の社会・経済状況の変化に照らして、敵対的買収に関するわが国の事情の動向を観察するとともに、その結果、日本における敵対的企業買収の動向をも観察・分析し、日本は特別ないし例外的な存在であり続けるのかを検討する。 令和元年度においては、会社法の再改正が法制審議会でされ要綱が法務大臣に答申され、会社法改正法が成立した。株式交付という新しい企業結合手法が導入されるなど、今後の税制改正の動きにもよることにはなろうが、これが敵対的買収の動向にも影響を与える可能性がある。また、現在検討されている外為法の改正の動向も注目される。 また、コーポレート・ガバナンスに対する改革が、開示府令やコーポレートガバナンス・コードの改正・改定と足並みを合わせる形で進められてきた。また、そこで、令和2年度には、研究協力者であるナンヤン工科大学ビジネススクールのAlan Koh助教授ととモに、ダブル・コードに関する論文を公表した。また、Dan W. Puchniakシンガポール国立大学法学部准教授との連携を引き続き行っており、Alan Koh助教授とも連携している。その成果として、令和2年度には、University of Pennsylvania Journal of International Lawに、Land of the Falling “Poison Pill”: Understanding Defensive Measures in Japan on Their Own Termsと題する共著論文を公表した。 さらに、令和3年度には、敵対的買収防衛策に関する司法判断が相次いだことから、これらを分析する論文を公表するなどした。 上記の諸事情に関係して、敵対的買収防衛策に対して資本市場が否定的な反応を強めてきたことから、買収防衛策の継続等の動向を踏まえて、背景的な事情についても分析を行うとともに、制度改革の要否等についても検討を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基本情報の新規収集、更新等は着実に行うことができている。 ただ、新型コロナ下にあって、海外の共同研究者との連携が取りづらく、研究を完結させるには至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
Dan Puchniak准教授、Alan Koh助教授らとの共同研究を進め、論文を雑誌に掲載するなど成果を公開する。 また、さらに敵対的買収の将来を分析すべく、日邦産業事件、日本アジアグループ事件、富士興産事件、東京機械製作所事件など、新しく生じた事案についても分析を進めていく。さらに、敵対的買収防衛策に対して資本市場が否定的な反応を強めてきたことから、買収防衛策の継続状況、敵対的買収防衛策の発動に関する司法審査の動向などを踏まえて、制度改革の要否等についても検討結果を取りまとめる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの感染が収まらず、予定していた海外渡航等ができなかったため。
|