時効障害制度は、時効の中断・停止から時効の更新・完成猶予へと再構成されたが、この再構成に伴い発生した多くの問いは、立法で解決されずに残されたままとなっている。本研究は、これらの問いに取り組むため、時効障害制度の正当化根拠を探究し、民法典が規定する個別の時効障害事由のすべてについて、何が民事手続の終了事由となるのか、それはいつ終了するのか、等々の解釈学的問題に一定の解答を示した。本研究は、新たな時効障害制度の正当化という未だ学説が存在しない問いに取り組む点で、学術的独自性・創造性を持つ。また、個別の時効障害事由に関する解釈学的提案は、実務的にも重要な意義を有する。
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