研究課題
2年目である本年度は、計画通り、UNIDROITのケープタウン条約を対象とする研究をすすめた。特に、2019年11月に、ケープタウン条約の第4の議定書として、「鉱業(Mining)・農業(Agricultural)・建設(Construction)物件に固有の事項に関する議定書」(MAC議定書)が策定されたために、このMAC議定書を中心に研究を進めた。ケープタウン条約は、これまで飛行機、鉄道、宇宙資産といった高額の動産を担保物件とする場合を念頭におり、そのため、各国の国内法ではこうした担保物件について、独立の、特別の担保制度を設けている場合も少なくなかった。他方、MAC物件については、各国の一般担保法の対象となっていることも多い。特に、在庫担保となっている機械との関係、MAC物件の担保登録に必要な特定方法、担保物件が土地に附合した場合の問題など、一般担保法(あるいは広く物権法)との調整の必要性がこれまで以上に鮮明化した。そこで、物件の特定方法と在庫担保の規律につき、検討し、以下2つの論文を公刊した。対象物件の特定方法について、「鉱業物件・農業物件・建設業物件議定書 (MAC議定書)の対象物件:ケープタウン条約の新たな議定書作成に向けて」『民法と金融法の新時代(池田真朗古稀記念論文集)』(慶應義塾大学出版会、2020年)、また在庫担保について、「鉱業物件・農業物件・建設業物件議定書 (MAC議定書)における在庫担保の規定:在庫商品の買主保護を中心として」『比較民法学の将来像(岡孝先生古稀記念論文集)』(成文堂、2020年)。
2: おおむね順調に進展している
MAC議定書に関する論文を執筆し、また、関連する国際担保法秩序に関連する国際会議に出席し、こうした分析結果を公表する機会を得た。ただし、総論部分の検討である、国際担保法秩序と国内法の受容については、研究が思うように捗らなかった。来年度の課題としたい。
本年は、予定されていた国際会議やコンファレンスが中止となり、予定していた研究活動が遂行できるのか不安な状況である。状況に応じて判断せざるを得ない部分があるが、できる限りの文献調査をすすめることにしたい。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Ius Comparatum - Global Studies in Comparative Law, Security Rights in Intellectual Property
巻: 45 ページ: -
法律時報
巻: 92巻3号 ページ: 123頁~127頁
『比較民法学の将来像(岡孝先生古稀記念論文集)』(
巻: - ページ: 507頁~529頁
民法と金融法の新時代(池田真朗古稀記念論文集)
巻: - ページ: 267頁~295頁
ジュリスト
巻: 1543号 ページ: 55頁~61頁