研究課題/領域番号 |
18K01343
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
原 恵美 学習院大学, 法務研究科, 教授 (60452801)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 機能的アプローチ / 担保法 / 登記 / 国際担保法秩序 |
研究実績の概要 |
4年目である本年度は、国際担保法秩序において、立法の基本原則である機能的アプローチについて分析を行なう論文を公表した(タイトル:「担保法における機能的(Functional)アプローチの複層性:国際的動向を踏まえて 」)。 そこでは、機能的アプローチが、①ハーモニゼーションの手法、②担保に関する単一法への体系化の契機、③担保権ではない法形式を採る取引につき、担保権としての再性質決定、④担保権ではないものを担保法への取り込む根拠、⑤特別の優先権ルール付与の正当化根拠として利用されていることを明らかにし、それぞれを分析した。 これらの中で、特に重要なのは、②であり、③および④は、②の単一法への体系化の具体的手法と位置づけられる。②は、権利相互の優先関係を明確に決するために登記制度を設け、その登記制度に担保権(security right)と名のつくもの、それから担保権ではないものの担保として機能する権利についても、必要と判断された場合には、担保法の対象とすることであった。したがって、機能的アプローチの最も基本的な視点は、登記に一元化するという点であると結論づけられる。 その上で、以上のような担保権の単一法への体系化に利点があることは広く共有できるとしても、具体的な手法である③および④のレベルでは、その実現が各国の私法体系と整合的なのかは問題となると結論づけた。 さらには、国際会議に参加し、資金調達というより広い視点における担保法の位置付け、上記の③と④に関連するファクタリングモデル法の作成に関与した。これらの点については、次年度以降公表する論文に反映する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究論文の執筆は進んだが、予定していた外国人研究者の招聘や外国出張を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である来年度は、コロナ感染状況が収まり、過去に実現できなかった招聘や出張が実現できることを期待している。 また、継続して、ファイナンスの環境全体からみて、UNCITRALモデル法に体現されているような動産・債権担保が我が国において普及しない理由について検討 したものを公表することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、出席を予定していた国際会議が中止・延期あるいはオンラインでの開催となったこと、外国からの研究者を招聘することができなかったため、旅費の 支出がなくなってしまった。しかし、来年度は、当初本年度に予定されていた国際会議への出席、あるいは外国からの研究者招聘を実現する予定でいる。
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