運送人の責任については、一般法の枠の中での個別的な議論に終始せず、その(一般法の)制約を超えた統一的な検討が必要である。すでに、2018年の改正商法は、一般法の原則を破っている。また、運送を社会に存在する固有の制度として把握することにより、この一般原則の超越が正当化されるであろう。運送人の責任を考えるには、二つの視点が必要である。第一に、運送は商取引であり、その特有の性質が法解釈において斟酌されなければならない。第二に、運送は社会的制度であり、その制度の一環として運送人の責任を考えなければならない。こうした視点をもって、複雑化した現代の運送を前提に、統一的な運送人の責任制度を構築すべきである。
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