研究課題/領域番号 |
18K01346
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鳥山 恭一 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (80164078)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | フランス / 欧州連合 / 会社法 / 資本市場法 / 株式会社 / 欧州会社 / 市場濫用 / 内部者取引 |
研究実績の概要 |
本研究は、フランスの会社法制および資本市場法制と欧州連合(EU)の会社法制および資本市場法制とが相互に影響しあう過程および構造のなかで、フランスおよび欧州連合の会社法制および資本市場法制が展開していく方向性を具体的な問題に即して明らかにしていくことを目的にしている。 すなわち、欧州連合では、構成国の国内会社法の内容を調整するための指令が1968年以来多数制定されている。また、2001年には、EU法上の会社組織として「欧州会社(societas europaea)」の組織が法定されている。欧州連合の域内における会社の所在地の移動にかかわるEU司法裁判所の判例法理も確立しつつある。また、フランスおよび欧州連合の資本市場における不公正取引(市場濫用、すなわち内部者取引、相場操縦、虚偽情報の流布)の規制について、2003年1月28日の欧州連合の指令が、市場濫用の規制を構成国に義務づける制度を定めている。さらに、2014年4月16日の欧州連合の規則が、上述の2003年1月28日の指令に代えて、欧州連合の域内において直接に適用される市場濫用の規制の制度を定めている。そうした法状況のもとにおいて、最初に述べたようにフランスおよび欧州連合の会社法制および資本市場法制が展開していく方向性を明らかにすることが本研究の目的である。 2018年度は以上の研究のうち、フランスの法状況をいくつかの問題について具体的に検討することに重点がおかれた。その具体的な内容は、つぎの【現在までの進捗状況】に記すとおりである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、フランスの会社法制および資本市場法制における具体的な問題に即した研究が、研究の中心になった。具体的には、公開申立ての届出義務(強制的な株式公開買付け)の適用範囲、資本市場法における「協調行為」の概念の内容、および、EIRL(有限責任個人企業)について研究を行ない、つぎの【研究発表】に記すようにその研究成果を公表した。 さらに、株式大量保有の報告義務およびその義務に違反した株主の議決権の当然の停止の制裁の適用について研究をまとめ、その研究成果を提出しており、早稲田法学94巻4号において公表される予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年度は、欧州連合による規制の研究を中心に行なう予定である。 現在、上場会社の株主の権利行使に関する2007年7月11日の指令を改正する2017年5月17日の指令およびその国内法化の作業について研究をすすめている。 さらに、資本市場の濫用規制を定める2014年4月16日の欧州連合の規則についても研究を奨めたいと考えている。
|