民事執行法153条1項による差押禁止範囲の変更は、従来から、債務者に適切な申立てをすることを期待できず、本来与えられるべき保護を実際には受けられないとの批判があった。 債務者保護のためには、その申立てがなくとも支払期に受けるべき給料の差押禁止額が一定額に満たないときは、その全額を差押禁止とすべきである。しかし、この制度の導入には問題があり、令和元年改正法では立法化されなかった。研究代表者は、ドイツ法に基づきこの規定の導入が可能であると論証した。この研究は、改正法案の審議で法務委員会が、諸外国における法制度を研究し、我が国における導入の是非につき検討するよう求めた附帯決議に応えるものである。
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