研究課題/領域番号 |
18K01352
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
瀧 久範 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508636)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不当利得 / 不法原因給付 / 契約 / 公序良俗 / 一般予防 / 抑止 |
研究実績の概要 |
2021年度は、不法原因給付の返還遮断の可否について、PECL等の国際的モデル準則で示された、わが国の民法708条および判例学説のアプローチ(原則遮断アプローチ+要件アプローチ)とは異なるアプローチが、各国法の解釈論にどのような影響を与えているかを分析することによって、あるべき判断枠組みとそれを支える原理を析出する一環として、ドイツにおける利息暴利に関する議論を検討した。 また、これに関連付ける形で、わが国における①統制法規違反の不法原因給付、および、②給付受領者の主観的態様の位置づけ、③給付者と給付受領者の不法性の程度の比較の位置づけに関する判例学説の分析を行った。とくに、①の検討でにおいて、裁判例では、不法原因給付の返還遮断の基準として、統制法規違反の非難可能性を検討するもの、非債弁済を用いるもの(②)、給付者と給付受領者の不法性の程度を比較するもの(③)と、全く統一されておらず、708条の規定のあり方、および、判例学説による要件の立て方に問題があることを浮き彫りにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
英米法の分析が不十分であり、わが国の解釈論の検討を十分に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年8月からメルボルン大学において在外研究を予定しており、英米法のうち特殊な発展を遂げているオーストラリア法を中心に、英米法の分析を再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により出張ができなかったため残額が生じた。2022年8月からメルボルン大学に在外研究を予定しており、その旅費のほか、オーストラリア国内の他大学への出張に使用する予定である。
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