研究課題/領域番号 |
18K01357
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
本間 学 金沢大学, 法学系, 准教授 (80387464)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 外国判決承認要件の審査 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、執行許可手続(Exequaturverfahren)の廃止により生み出された、ブリュッセルIa規則の新たな規律方法をドイツ(固有)法の観点から分析し、EUのような超国家的な法的枠組みが存在しない国際民事訴訟法領域で、かかる調整メカニズムをどの程度参考にしうるかを明らかにすることを計画していた。しかし、コロナ禍によるドイツでの学会の開催延期等の事情により、計画の一部は実施できずに終わった。そこで、令和2年度においては、延期となった上記学会(当初、令和3年3月に延期予定とされた)に参加するとともに、引き続き文献を収集・分析することで、前年度に積み残した課題について分析・検討を行い、当初より計画していた日本法における執行判決訴訟の改革の方向性を探る予定であった。 海外学会については、再度、コロナ禍により開催が見送られたため、本年度の研究も文献調査分析を中心としたものとなった。この調査分析により、外国判決の承認要件の審査を事後的な不服申し立ての枠内で行うことにより、執行許可手続を簡素化する余地も理論上は考え得る一方、その実現には承認要件審査に係る債権者と債務者の利益の調整のあり方が鍵となることを確認した。また、執行判決訴訟の簡素化に関する日本における議論状況の整理にも着手した。 なお本年度は、外国判決の承認・執行要件のあり方にも間接的に関連する研究として、北陸国際関係私法研究会(2020年11月開催)において「外国に所在する証人に対するウェブ会議を用いた尋問の可能性と課題」と題する研究報告を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたドイツでの学会参加による、ドイツ人研究者との意見交換については、コロナ禍の影響により断念せざるを得なかった。この点を補うために、より多くの文献を渉猟し、分析の精度を高める作業が必要となり、また、コロナ禍に起因する諸事情により、研究遂行そのものも若干の遅れが生じた。以上のことから、上記のように評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の新型コロナ感染症の状況が見通せないため、海外学会におけるドイツ人研究者との意見交換は断念せざるを得ない。文献の調査分析により、残された課題についての検討を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大による海外学会の開催中止及び購入予定図書の刊行時期の延期による。海外学会の次年度開催及びオンラインによる開催の見込みは、現時点では不確かであるため、使用できなかった海外出張旅費については、次年度において関連書籍の購入に充てることを考えている。
|