研究課題/領域番号 |
18K01358
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
生駒 俊英 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 准教授 (00514027)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 法は家庭に入らず / 養育費 / 扶養 |
研究実績の概要 |
今年度、研究計画に従い、(1)「法は家庭に入らず」の原則は、いかに生成されたのか、(4)日本における「法は家庭に入らず」に関する考え方について研究を進めた。 (1)について、「法は家庭に入らず」の原則が、ローマ法からコモン・ローを通じて生成されたものと指摘があり、ローマ法に関する文献を中心に読み進めた。日本における当該原則の支配範囲と違い、欧米では当該原則の支配範囲が狭いとの指摘がなされていた。この点に関しては、その背景も踏まえて具体化する必要がある。あわせて、“Die Familie als rechtsfreier Raum”をキーワードに文献を読み進めた。その他、ドイツでは、扶養料立替法(Unterhaltsvorschussgesetz)が2017年に改正されたため、その改正点について研究を進めた。それに関する論文が、2019年6月に公表される予定である。 (4)について、家族の出す結論を公的にチェックしない制度設計は、日本の近世における秩序の影響があったのではとの指摘もあり、現代にとどまらず古くからの日本人の法に関する考え方、生活という視点から広く文献を読み進めることとした。文献では、従来から、家族内の弱者のための法の介入の必要性が指摘されていた。しかし、法の介入が行き過ぎると、家族の自律が侵害される事となるためどの程度介入すべきか、という点について、様々な指摘がなされていた。また、家族内への法の介入については、憲法学、社会学、法哲学等様々な分野からの議論がなされており、改めて議論を整理する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画(1):「法は家庭に入らず」の原則は、いかに生成されたのか、に関して特に洋書(ドイツ語)文献を予定していた程度、読み進めることができなかった。 研究計画(4):日本における「法は家庭に入らず」に関する考え方に関して、来年度以降も引き続き研究を進めるが、今年度は予定していた研究を進める事が出来た。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も、基本的には申請の際に記載した研究計画書に沿って、「法は家庭に入らず」の原則の生成について、そして日本における「法は家庭に入らず」に関する考え方について研究を進めるものとする。 必要があれば、研究計画(1)「法は家庭に入らず」の原則は、いかに生成されたのか、を含めた海外での議論をより探るため、海外共同研究も視野に入れて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたドイツへの調査・資料収集を実施することができなかった為。 次年度、当初予定していたドイツへの調査・資料収集を実施する事とする。
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