研究課題
基盤研究(C)
本研究は、養育費立替制度導入に向けて、家庭の私的な問題と理解される養育費不払い問題について、何故国や地方自治体が介入すべきであるのか、その必要性を明確にすることを目的とするものである。そして、その目的を達成するために、法格言である「法は家庭に入らず」を一つの研究対象として取り扱った。結論としては、「法は家庭に入らず」が生成された背景からは、養育費不払い問題との関係において、当該原則を維持することは困難であると結論付けた。その上で、国が介入すべき必要性、その問題点について明確にした。
民法(家族法)
養育費に関する問題は、従前家庭内の問題であるとされ、国等は消極的にしか関与してこなかったが、それでは問題が解決できない事が分かった。これまでは、地域の慣習・地縁関係・コミュニティーが、セーフティーネットとしての役割を担っていたが、それらへの期待が困難になってきている現状では、まずは国にその代替的役割が求められている。一方で、国の不当介入を避けることも必要である。このような考え方は、養育費に関する問題にとどまらず、子どもに関わる問題全体へ波及する考え方である。