研究課題/領域番号 |
18K01359
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
尾島 茂樹 金沢大学, 法学系, 教授 (50194551)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | クレジット・カード / チャージバック |
研究実績の概要 |
令和元年度は、研究計画に従い、クレジット・カード(以下、「カード」という)の不正使用に関わる問題点、特に不正使用の防止に関わる問題点の検討をすすめた。 カード取引に主として関わるのは、カード発行者(イシュア)、カードを利用させて商品・役務を購入させる加盟店、加盟店にカード取引環境を提供するアクワイアラ、そしてカードを利用して購入するカード会員がいる。従来は、カード発行者(イシュア)とアクワイアラが同一当事者であったが、近時は機能分化が進み、割賦販売法では、別当事者であることを前提として規定されている。それぞれの当事者について、従来の取引慣行の一定の変更や、法規制により不正使用防止のインセンティブを与えることができ、これをカードの不正使用の防止につなげることが非常に重要であることの認識を得て、「クレジット・カードの不正使用防止についての課題・メモ」(名城法学69巻1・2合併号)を公表した。特に近時、社会問題化している加盟店による不正使用防止については、チャージバックの強化が重要な意義を有する点を明らかにした。 また、研究課題に掲げている「チャージバック」を検討するに当たり、従来から議論のある抗弁の対抗の考え方が参考となると考え、その範囲の拡大を検討した。現時点では、実際の取引においてカードの利用は念頭に置かれていないものの、不動産取引についても抗弁の対抗があり得るのではないか、という知見を得て、「不動産ローンと消費者保護-抗弁の接続を中心として-」(現代消費者法44号)を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従い、クレジット・カードの不正使用の問題点を検討するとともに、今年度は、不正使用防止に関わる問題として、カード取引への各取引参加者に対するインセンティブの観点から研究をすすめた。また、抗弁の対抗問題を検討することにより、チャージバックへの応用を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、特にチャージバックの充実によるクレジット・カードの不正使用防止について検討を進める。この際、いわゆる日本型チャージバックの慣行について、国際ブランドによる国際ルールとの関係に注意を払いながら、検討を進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
注文していた洋書が年度内に納入されなかったこと、及び研究課題に関する資料が手元で手に入り、資料収集のための旅行をする必要がなくなったこと等により、未使用額が生じた。翌年度の図書購入費、及び資料収集旅費として活用する。
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