クレジット・カードの不正使用防止についてチャージバックを活用する観点から検討を行った。クレジット・カードの不正使用が行われる場所は、加盟店又は加盟店のサイトである。クレジット・カードが使用される際、加盟店に対し不正使用に対する注意を十分に行わせ、あるいは加盟店が関与する不正使用を防止するためには、不正使用が行われた場合には加盟店にその利用代金が支払われないようにすることが重要なインセンティブとなる。この観点から、不正使用の場合にはクレジット・カード発行会社が合理的にチャージバックを行うことにより、全体としてのクレジット・カードの不正使用を防止できることを主張した。 さらに、チャージバックに関連して、同様に加盟店の責任が問われる抗弁の対抗や加盟店の購入者残債務引受責任についても、不正使用の防止について一定の抑止効果があると評価できる観点から検討を進めた。最終年度はまとめの検討を行った。 研究テーマを直接扱う論稿としては、「クレジット・カードの不正使用防止についての課題・提案メモ-当事者類型ごとのインセンティブから」名城法学69巻1=2合併号(淺木愼一教授退職記念号)113-126頁〔令元.11〕、「クレジット・カード取引と社会のグローバル化」金沢法学63巻2号(立石英生教授、野坂佳生教授退職記念論文集)145-157頁〔令3.3〕 、「チャージバックの活用によるクレジット・カードの安全性の向上」消費者法ニュース131号168-170頁〔令4.4〕がある。また、関連事項を扱う論稿として、「不動産ローンと消費者保護」現代消費者法44号15-22頁〔令元.9〕、「加盟店契約違反に基づく加盟店の購入者残債務引受責任」CCR(クレジット研究)11号43-47頁〔令4.6〕がある。
|