有利発行規制の存在意義は疑われてきたが、現状では一定の機能を一応果たしている。(1)従来、敵対的買収の防衛等のための新株等の発行を抑止するものとして機能してきた。近時、より一般的に利益相反の規律の一環として捉える見解が登場し、これは支持できる。次に、(2)慎重な発行価格の決定プロセスを経させるという機能がある。これは取締役の義務を通じても規律できるが、十分でなければ有利発行規制でやるほかない。 (2)との関係では、算定等のプロセスの開示が重要になる。しかし、会社法はこの点についてほぼ規制がない。金商法には規律があるが、会社法の観点から十分かに加え、同法の適用対象とならない会社の問題が残る。
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