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2021 年度 実績報告書

現代における均分相続の理念の意義とは

研究課題

研究課題/領域番号 18K01363
研究機関神戸大学

研究代表者

浦野 由紀子  神戸大学, 法学研究科, 教授 (70309417)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード法定相続 / 遺言 / 相続契約 / 遺産
研究実績の概要

令和3年度は、昨年度に調査・分析した諸外国の状況につき、その背景となる原理に着目して比較検討を行った。その結果、「契約による事前の相続規律」を許容する法制・禁止する法制のいずれにおいても、許否の根拠となっているのは、被相続人の自由、すなわち〈人が死亡に際して私有財産の帰すうを定めること(死後の財産処分の自由)は、どこまで・どのように保障されるべきか〉をめぐる態度であることを、明らかにできた。いずれの国の法制も、被相続人に対して「遺言(死後の財産処分)の自由」及びその「撤回の自由」を保障しているが、①被相続人の有するこれらの自由を制限しうるものという観点から「契約による事前の相続規律」の問題を捉える(相続人の相続権保障という観点はほぼ考慮されておらず、相続人の保護は遺留分制度で十分に図られると考えられている)点では共通しており、しかし、②被相続人のこうした自由に対してパターナリスティックな保護を与えるか・与えるとしてどのような場合にどの程度与えるかは、国によって異なり、それが具体的な制度設計のあり方に影響を与えている。
以上の比較法的検討からは、相続人の保護という観点からのみ問題を捉えるわが国においては、被相続人の処分自由(撤回の自由・自己のする処分に拘束される自由も含む。)という視点からの検討が欠けていることが分かる。
期間全体を通した検討を総合すれば、現代においては、均分相続の理念が適切に基礎づけられなくなっている可能性があり、法定相続によらない《契約による事前の相続規律》というスキームは、相続法の中で一般化することが十分可能であると考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 遺言者がした危急時遺言が真意に適うものであるとされた事例2022

    • 著者名/発表者名
      浦野由紀子
    • 雑誌名

      私法判例リマークス

      巻: 64 ページ: 66,69

  • [図書] LegalQuest民法Ⅵ(第6版)2022

    • 著者名/発表者名
      前田陽一、本山敦、浦野由紀子
    • 総ページ数
      486
    • 出版者
      有斐閣
    • ISBN
      978-4-641-17953-0

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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