本研究の学術的意義は、社会保障における生活支援制度との交錯点に扶養法を位置付け、合わせて家族社会学の知見に照らして家族による支援の適切性・実効性を批判的に検討した点にある。そして、現代の家族の状況と身分を介した権利・義務の設定の限界を考慮して、公的扶養・私的扶養の機能領域の調整の中で扶養法が目指す方向性を明らかにした。また、家族の生活保障機能をどの範囲で、またどの程度に維持しうるか、という点を民法の側から明確にすることを試み、貧困問題への法的対応において民法の果たすべき役割を位置づけた点に社会的意義がある。
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