研究課題/領域番号 |
18K01367
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
芳賀 雅顯 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (30287875)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 外国判決 / 終局判決 / 既判力 / ADR / 和解 |
研究実績の概要 |
本申請は、「渉外民事紛争における紛争解決の終局性」をテーマとするものである。 2018年度は、1)外国の既判力制度との比較や、2)ADR/和解による紛争解決に関する研究を行った。 1)日本と外国の既判力制度の比較を行う前提としての、予備的研究を行った。①「既判力の客観的範囲」法学教室459号26頁-29頁(2018年)では日本の既判力制度を、また、②フレデリック・フェラン(芳賀雅顯・訳)「フランス既判力論の不明確さと矛盾」法律論叢91巻1号413頁-466頁(2018年)ではフランス既判力論を論じている。とくに後者はリヨン大学の民事訴訟法研究者による講演原稿の翻訳であり、フランス法に関する貴重な邦語文献である。 2)ADR/和解による紛争の終局解決性との関係では、③判例解説「大阪高決平成28年6月28日判時2319号32頁」新・判例解説Watch23号313頁-316頁(2018年)、④ファビアン・パぺ(芳賀雅顯・訳)「和解をめぐるカルテル法上の審査--合併審査における上訴手続を例に--」慶應法学42号483頁-503頁(2019年)、そして、⑤口頭報告Schadensersatzklage bei der Grosskatastrophe(Keio-Japan-Tage 2018)がある。③の判例解説は仲裁判断の取消可能性に関する下級審裁判例の解説であり、④は企業合併により不利な影響を受ける同業他社との和解に関するドイツの競争制限禁止法(カルテル法)上の司法審査に関する議論をドイツ連邦カルテル庁に勤務する公務員による解説であり、非常に重要な文献と考えられる。最後の⑤は、2018年6月6日に、ドイツのザールラント大学で開催されたKeio-Japan Tageでのシンポジウムにおいて、福島原発の被害者賠償制度に関するADR手続による紛争解決制度を報告、討論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の箇所でも論じたが、本申請テーマに関する準備的な検討・研究をいくつか行い、成果報告を行う機会が与えられた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、引き続き比較法的研究に基づいた「判決の終局性」の検討を掘り下げる予定である。具体的には、ドイツにおける判決の終局性概念の歴史的発展を検討したいと考えている。
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