動産・債権担保法改正の審議過程で、従来の動産・債権譲渡登記に加えて「担保ファイリング」が議論されている。これは、与信の可能性を公示して新規の融資を新たに行うものに対する警告機能を果たすことが企図され、まさに、本研究で議論してきた「公示によって既存の担保権者の内容の開示を担保設定者に求める」という手順が想定されている。ただ、2020年1月末にカナダ・McGill大学のWalsh教授に行ったインタビューでは、開示請求権の規定の有無は、調査の成否には影響しないとの回答がなされた。規定がなくても、照会に設定者が答えることが実務上一般化すれば、既存の担保設定の情報を新たな与信者は獲得可能なのである。
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